「Thank you for our STARS」 23 MF 佐々木繭選手
小学生の時はバレエとサッカーの二刀流という珍しい経歴を持つ佐々木繭選手。「サッカーの練習を終えてからバレエのレッスンという日もありました。6年生の時に進路を考えてサッカーを選びました」。セレクションを受けて、日テレ・メニーナ、聖和学園高等学校へと進んだ。「練習も雰囲気も楽しかった。聖和では初めて出会うサッカーがありました」。1年生から試合に出場、キャプテンも経験し、様々な難しさを感じながらも成長していった。武蔵丘短期大学では「阪口萌乃(大宮V)は小学生の神奈川県トレセンで一緒で、短大でまた一緒にできて嬉しかった。萌乃からのパスでよくゴールを決めました」。
2013年になでしこリーグ1部に昇格したベガルタ仙台レディースへ加入した。「1年目は、こんなすごい選手たちの中にいていいのかというところから始まりました。練習について行くのに必死。緊張していて何もできなかった。のん(田原のぞみ)さんや先輩たちが教えてくれました。同期は井上綾香(大宮V)、成宮唯(I神戸)、高良亮子というメンバー」。試合経験を積んで左サイドで力を発揮していき、ボランチも経験。やりたいことが体現していく実感があったなかで2016年には女子日本代表に選ばれた。「上手くいかない時、ネガティブになりそうな時はいつも周りの先輩が声をかけてくれました」とその存在の大きさを感じながら成長していった。


サッカー人生の転機、2018年浦和レッズレディース(現三菱重工浦和レッズレディース)への完全移籍を果たす。「2017年に(川村)優理が新潟Lへ移籍し、自分がやらなきゃという気持ちになり空回りしてしまった。ハカ(浜田遥・大和シルフィード)と一緒に来季も頑張ろうと話し合ったのに、翌年移籍して申し訳ないことをしてしまった」。その分もレッズでは全力を尽くそうと決めた。「もっとサッカーを知りたいという気持ちも強くなった」。代表選手が多く刺激的な毎日だった。「レッズでの思い出はいっぱいあります。仲間意識や、誰かのためにという気持ちを持った選手ばかり。それが自分を奮い立たせてくれました。点を取れなかった選手が一生懸命練習に取り組んでゴールを決めたら、みんな自分のことのように喜んでいました」。仲間を思う気持ちがチームを強くしていくということも身を持って学んでいった。
優勝の喜びも味わった。「なでしこリーグ優勝(2020年)の時は目の前の試合、1つ1つを戦っていたら優勝できたという感覚でした。一度優勝したら先を見てしまって上手くいかなくなることもありました。そこから、目の前の1試合を大切にすることで強くなっていくということを経験できました」。2024-25シーズン、浦和からマイナビ仙台レディースへ移籍。仙台へ帰ってきたこのシーズンの試合出場は叶わなかったが、多くの方から温かく「おかえり」の声をかけてもらった。
サッカー人生の喜びは「試合に勝った後に、みんなでわちゃわちゃしている時間。優勝でなくても幸せな時間です」。その宝物のような時間を胸に、佐々木繭は現役を引退する。「これから新しい道を探すために、いろいろな人の話を聞いてみたい」。佐々木繭は背筋を伸ばして目線は高く、凜として新しい人生へ向かう。


23 MF 佐々木繭選手
【生年月日】1993年1月12日
【所属歴】
藤野FC2000-相模原SCコプリス-日テレ・メニーナ-聖和学園高-武蔵丘短期大-マイナビベガルタ仙台レディース-三菱重工浦和レッズレディース-マイナビ仙台レディース
【代表歴】
2016年 日本女子代表
2017年 日本女子代表
【通算出場記録】※2025年5月11日時点
2021-22(浦和)リーグ 20試合出場 0得点/皇后杯 4試合出場 0得点
2022-23(浦和)リーグ 10試合出場 0得点/カップ 6試合出場 0得点/皇后杯 2試合出場 0得点
2023-24(浦和)リーグ 12試合出場 0得点/カップ 4試合出場 0得点/皇后杯 4試合出場 0得点
2024-25(マイナビ仙台)リーグ 0試合出場 0得点/カップ 0試合出場 0得点/皇后杯 0試合出場 0得点